一般社団法人大槌新聞社

衆院選、私には二票ある?

TOP

2021年10月27日

 10月20日。投票日を31日に控えた衆院選の「投票所入場券」が釜石市から届きました。「あれ?」と思いました。それより前に、大槌町からも名簿番号や投票所名、バーコードが書かれたハガキが届いていたからです。

上が大槌町から届いたハガキ、下が釜石市から届いたハガキ

 私は6月末、大槌町から釜石市に引っ越しました。大槌町のハガキ表面には、「あなたは、大槌町から転出されましたが、大槌町の選挙人名簿に登録されており、裏面の投票の方法により、投票することができます」とあります。
 裏面には、ハガキを持参して大槌町で投票する方法とともに、「不在者投票をする方法(大槌町以外で投票する方法)」も書かれてあります。その場合、「右記の宣誓書に記入し、大槌町選挙管理委員会へ封書で請求する」のですが、「(投票用紙の)郵送に日数がかかりますので、お早めにご請求ください」と書かれてあったため、私は「釜石でやるには手間も時間もかかりそうだから大槌町で投票しよう」と思っていました。

 ところがその後、釜石市から「投票所入場券」が届いたのです。現在住んでいる最寄りの集会所が「投票所」に指定されていて、「投票区(第●投票区)」と「名簿番号(●頁●番)」も書かれてあります。
 25日、私は買い物のついでに、釜石市で期日前投票をすることにしました。その場にいた男性職員に、大槌町からもハガキが届いていることを説明すると、職員はすぐにその場で大槌町に電話連絡。「すいませんでした。大槌町の名簿からは間違いなく消しましたので、ここで投票できます」と言われました。私が投票を済ませると、男性職員や周りにいたスタッフからは何度も頭を下げられました。

 でも、それは釜石市のミスではありませんでした。
 翌26日、大槌町の選挙管理委員会に電話しました。職員によると、公示日前日の10月18日から3カ月前までの間に転出した人が、大槌町で投票できるとのことでした。以下、職員とのやりとりです。

私「私はそれより前に引っ越したので、該当しないのでは」
職員「システム上、ハガキが自動で届くようになっている。菊池さんについては手動で名前を抜き取らなければならなかった」
私「大槌町と釜石市の名簿に二重掲載されていたのでは」
職員「二重掲載ではありません」
私「どちらのハガキにも名簿番号などが書かれてありましたよ」
職員「菊池さんが釜石市に行く前に、大槌町で投票しようとしてもできなかったんですよ」
私「こういうことは度々あるんですか」
職員「レアですね」

 つまり、大槌町は、大槌町で投票する権利のない私にハガキを誤って送ったということがわかりました。職員は「釜石に行って正解でしたよ」と他人事のように話していました。それが本当だった場合、私が大槌町に投票しに行ったら、無駄足になったわけです。まだ私は隣町だからいいようなものの、万が一、もっと遠くに引っ越した人が大槌町に投票に来た場合、その人にも同じような返答ができるのでしょうか。もしくは、投票日の締め切り時刻ぎりぎりに駆け込んできた人は、どういう措置になったのでしょうか。そもそも、本当に二重投票ができないようになっていたのかどうかも、私には疑わしいです。

 私のような問い合わせは今のところ、他にはないようです。ですが、そもそも今回の件については、庁内で情報共有されたのでしょうか。私と同時期に転出した人たちには、同じようなハガキが誤って発送されていないかどうかを確かめたのでしょうか。少なくともハガキ発送時には名簿番号や投票所名、バーコードが書かれていたわけで、今はもう二重掲載がないとしても、私の名前はいつの時点で消されたのでしょうか。疑問はつきません。

 私が首をひねるのは、職員の態度についてもです。大槌町職員からは、過ちを素直に認め、説明を尽くして謝罪し、すぐにでも対策をしようという姿勢が感じられませんでした。誤ったハガキを送っておきながら、「万が一、大槌町に投票に来た場合は帰ってもらえばいい」、「ハガキの誤送付や名簿掲載については、町選管だけがわかっていればいい」、「問い合わせが来たらその時、答えればいい」などと考えているのではないでしょうか。何も悪くなかった釜石市職員は、こちらが申し訳ないくらいに謝っていたというのに。

 くしくもこの日に開かれた大槌町の議会全員協議会では、職員の不祥事が公表され、議員からは責任を問う厳しい声が相次ぎました。4年前にもほぼ同様の不祥事が起きていて、「再発防止に努める」と町長らが謝罪・約束しています。不祥事はこれまで何度も起きています。ミスは誰にでもありますが、発覚後、すみやかに適切な対応ができるかどうかが重要です。これは、職員個人の資質というより、組織体質の問題だと改めて思いました。